近年、老後に備えて住みかけるという方が増加しています。
マイホームが終着点といっていた昔とは家族構成、ライフスタイルが180度変わったといっても過言ではない現在になりました。
日本人の平均寿命も昔より延びてますので、住んでいる家の老朽化と自分たちの高齢化が進み、以前は住みやすかった我が家に不満を持つ人も少なくありません。
介護が必要になる場合も踏まえて、いつまで今、住んでいる家に住めるのか不安に思っている方も多いでしょう。
今回は、老後資金の確保から売るタイミング、住み替えの場合、住宅ローンの返済はどうなるのかまでご説明いたします。
老後資金はどうやって確保する?
老後資金は3000万円かかるといわれております。
3000万円の内訳ですが、一般的には教養娯楽費、光熱費、保険、医療、食費、住居費などの支出があります。
これは介護費用と年金の費用も含めていない額なので住宅ローンが残っていた場合ローン返済は大変な負担となります。
3000万円をすぐに用意できるのであればよいのですが、そうでない方がほとんどですが、老後資金確保のため、マイホームを手放すという選択肢も考えなくてはなりません。
住み慣れた我が家を売るのは忍びないですが、修繕費、バリアフリー化できる資金の用意ができなければ、逆に高齢化が進むにつれ、住みにくくなるのが明白です。
手放すタイミングを遅らせれば遅らせるほど自宅は築年数はかさみますから売却価格に影響がでてきます。
老後資金の確保は老後になってからではなく、働き盛りの若いうちから計画的に行うことをおススメいたします。
家を売るタイミングはいつ?【老後】
老後を見据える場合、住み替えになるのですが、物件探し、見学、売却時の交渉、引っ越し依頼などは体力がいるものです。
そのため、まだ体力のある40代、50代、60代から老後資金を確保するために家を売るタイミングを検討していきましょう。
定年退職した時
定年退職した時は、今まで仕事中心だった生活スタイルから夫婦中心のスタイルへ変化しますので、通勤の必要がなくなりますから、住み替えの選択肢が広がります。
ただ若いころのように範囲を広げての行動は厳しいですから、公共機関を利用していける範囲、歩いて行ける範囲で、病院やスーパーなど利便性を考えて住み替えを検討しましょう。
今住んでいる家に不満を感じたとき
今住んでいる我が家が古くなり、屋内の家電や設置している機械も古く不満を感じたときも住み替えのタイミングと言えます。
住宅ローンを返済し終えたときには建屋も大分老朽化が進み、屋内の設備も30年以上前の設備ですから当然古いのと当時の耐震設計ですから現在の技術で進んだ耐震性のある住宅と比較すると耐震面においても不安が残ります。
また足腰が弱ってきたが、階段が多い家に住んでいるといった場合など、若いころは住み良かったがは住み替えの時に、バリアフリーも念頭にいれて住み替えを検討することをおススメいたします。
子供が独立した時
子供が独立し、家を出ていった時も住み替えのタイミングといえるでしょう。
子供部屋の必要がなくなり、子供の世話をする必要がなくなりますので、夫婦2人で住むには広すぎます。
そのため、住み替えの際は、夫婦2人で住むのには使い勝手がよくコンパクトな住環境を検討しましょう。
老後に家を売る時、住宅ローン返済はどうする?
家を売る際の住宅ローンは完済しているのがベストですが、そうでない場合もあります。
どういう場合があるのか、それぞれ見ていきましょう。
完済している場合
住宅ローンが完済している場合は家を売るタイミングは自由です。
ポイントは住み替えのタイミングをどうするかだけですので、前述の「家を売るタイミングはいつ?」を参考に住み替えを検討しましょう。
アンダーローンの場合
アンダーローンとは住宅の資産価値がローン残高よりも多い場合を指します。
要するに家を売ったお金で住宅ローンを払い終わっても現金が手元に残るということです。
アンダーローンの場合は、その残ったお金が新居の購入費に充てられます。
オーバーローンの場合
オーバーローンとは住宅の資産価値がローン残高より低い場合を指します。
家を売っても住宅ローンが返済できず、ローンが残ってしまう状態のことです。
この場合は家を売りに出しても抵当権※1が残ってしまうので売れないことになります。
この場合、選択肢は手元に資金があれば住宅ローンをその資金でなんとか完済するか、任意売却※2という方法になりますが、本末転倒です。
本来の住み替えという観点から考えると住み替えは厳しいのでオーバーローンだった場合のことを考慮し、早い段階で繰り上げ返済を行うなどの対処しておきましょう。
※1 抵当権:お金を返せない場合、その代わりに家や土地をお金を貸した金融機関がもらう権利のこと。
※2 任意売却:住宅ローンが払えなくなった持ち主の代わりに不動産会社が自宅を競売より良い条件で売りに出すこと。
老後に住み慣れた土地を離れるという選択もあり?
住み替えといっても住み慣れた土地から離れずに住み替えるのが一般的ですが、昨今、スローライフがもてはやされてますが、地方に移住するという選択肢もあります。
地方に移住するといってもイメージが不便、車がないと移動できない、駅・空港まで遠い等のデメリットが思い浮かびますが、地方に移住するメリットもあります。
・物価が安い
これは東京を100とすると地方は軒並み、安く東京より高い地方はありません。
老後資金が少ない場合でも食べていかなければいけませんので、物価が安いことに越したことはありません。
・土地の値段が安い
移住するにあたり、もっとも恩恵を受けるのが土地の値段が安い事でしょう。
東京ですと一戸建てで狭小住宅でも土地代を合わせると3000万後半~4000万円ほどします。
地方だとこの値段であれば豪邸が立ちます。
土地代の例として花火で有名な秋田県大曲市だと2.1万円/㎡ですので120坪(396.69㎡)でも約834万円ですので、残りを建屋にかけられます。
・食材が新鮮でおいしい
地方の場合、地域の農家が持ちよって販売する専売所や道の駅が必ずありますので、その地域でしか食べられない食材もあります。
東京などへ出荷する際の輸送コストがほとんどかかってませんから新鮮でかつ安く果物や野菜を手に入れることができます。
・自然環境が充実している
地方でも夜になるとある程度の都市部でも東京と比べると自然にあふれております。
ウォーキングに最適です。
都市部の喧騒を歩くより精神面でも健康的に暮らせます。
・地域とのふれあいが都市部より近い
老夫婦二人だけですと移住は不安と考えると人が多いですが、逆です。都市部の場合、人への無関心が顕著ですが、地方の場合、近隣との距離がかなり近いため、1,2か月住めばすぐに近くの畑でとれた野菜のおすそ分けなどコミュニケーションをとる機会が多くあります。
老夫婦の場合、近くに気にしてくれる知人がいることは自分たちに何かあったときにすぐに発見しやすい状態であると言えますので、子供が近くで見てくれなくてもある程度安心して暮らせます。
ただ以下のようなデメリットもあります。
・移住する場所によって病院が遠い
これは移住する場所を検討する際に病院が近くにあるのかどうかを確認すれば済む話ですが、地域は診療所という小さい病院があまりなく、その土地に大きい病院が1つあるといった地方が多いですからこれはある意味致し方ない面もあります。
・公共機関が発達しておらず車が必須の地域もある
バスや電車はもちろん走ってはおりますが、本数が異常に少ないです。
これはどこの地方もほぼこの状態です。
都市部は駅前を中心に栄えてますが、これはバスや電車利用が極端に少ないため、駅前を開発しても意味がありませんからどうしても高速の乗り入れ口(インターチェンジ)が栄える傾向にあります。
ただ最近ですとモールへの無料バスを運行し、遠いところからでもモールへこれるようサービスを提供している地域もありますので事前に調べておいたほうがいいでしょう。
・娯楽が少ない
地方の特徴として電車やバス利用が少ないため、都市部と違い、駅前は栄えておらず、インターチェンジの出口が栄えているケースがほとんどです。
これもインターチェンジ近くの土地を探すことでその周辺に商業施設がびっしりと整ってますので解決します。
また若いころの娯楽と年を取ってからの娯楽で違いがありますが、娯楽が少ないことはたしかですから、その土地に移住すると決めた場合、その土地に何ができるのかを自分は何をやりたいのかを考えておくといいでしょう。
・地域の風習がある
都市部にあまりありませんが、その地域には地域の風習というものがあります。
もちろんない地域もありますが、もし風習があった場合は受け入れるぐらいの心の準備はしておいたほうがよいでしょう。
・昔からの人間関係が強い
地方というより地方の中でも居住人数が極端に少ない村といったかなり閉鎖的な地域がこの状態になっていることが多いです。
狭い範囲でどこにいくに顔見知りなのは安心な反面、付き合い方を間違うと村八分といった状態になりかねませんから、もしこういった地域へ移住の際はコミュニケーションに気を付けましょう。
老後に家を売るという選択 まとめ
いかがでしたでしょうか。今回のテーマを以下にまとめます。
・老後資金は3000万円かかるといわれている。
・老後資金を考慮しマイホームを売るという選択肢を考える。
・家を売るタイミングを考える。
・住宅ローン返済はオーバーローンになった場合のことを考慮し繰り上げ返済など対処しておく。
・地方へ移住することも選択肢として検討する
今、40代ぐらいの方で貯金ゼロの方が多いようですが、老後にこれだけの資金がかかると試算されてますので、子供に迷惑をかけたくなければ、家を売るという選択肢にかかわらず、今のうちからなんらかの準備をしておく必要があるでしょう。
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